認知症とは、正常にはたらいていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響が見られる病気です。物事を記憶したり判断したりする能力や、時間や場所・人などを認知する能力などが低下するため、生活上の支障が出てきます。
今まで出来ていたことが急に出来なくなったり、通い慣れているはずの道がわからなくなった、大切な約束を忘れてしまった、同じことを何度も聞いたりするようになった――こうした"もの忘れ"には単なる加齢による場合と認知症の初期段階の場合とがありますので、一度受診なさるようお勧めいたします。
認知症は、脳の病気や障害のために、正常だった記憶や思考などの能力が低下していく障害です。
認知症は、「アルツハイマー型認知症」と「血管型認知症」の大きく二つに分けられます。
アルツハイマー型は65歳以上の女性に多く、原因は脳の変性であり、ゆっくり進行します(若年型は比較的速く進行します)。
自覚症状は無いことが多く、抗認知症薬等で治療を行います。
血管型は50歳代から見られ、男性に多く、原因は脳血管の硬化であり、血圧を下げる薬や血栓が出来るのを抑える薬が主となります。
認知症を完全に治す治療法は、まだありません。そこで、出来るだけ症状を軽くして、進行速度を遅らせることが治療目標となります。
治療法には、薬物療法と非薬物療法があります。
このうち薬物療法は、アルツハイマー型認知症の中核症状の進行をある程度抑える効果が期待される薬が若干あるだけで、脳血管性認知症に効果がある薬剤は今のところ存在しません。そのため、非薬物療法によって症状を抑えることが主な治療法となります。
認知症の薬物治療には、認知機能を増強して、主な症状を少しでも改善し、病気の進行を遅らせる治療と、行動・心理症状(BPSD)を抑える治療があります。薬の効果と副作用を定期的にチェックしながら、患者様の症状に合わせて使用していきます。
認知症と診断されても、本人に出来ることはたくさん残っていますので、家庭内で本人の役割や出番をつくって、前向きに日常生活を送ってもらうことが大切です。書き取りやドリルなどの認知リハビリテーションのみならず、昔の出来事を思い出してもらうこと、家族以外の人たちと交流することなども脳の活性化を促します。