心身症とは、精神的ストレスや対人関係など、心理・社会的要因がその発症や経過に大きな影響を及ぼしている"体"の疾患です。したがって"心"の病気そのものの名前ではなく、持続したストレスが関与して体に障害が起きていると認められるときに使われる病名なのです。
たとえば、仕事がどうにもうまくいかない、家庭生活で嫌なことが続く、大切な人と死別したなど、心理的要因や過剰なストレスによって発症する胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが、これに相当します。
自分の内的感情やストレスに気づきにくく、自分を抑えて周囲に合わせたり、自分の感情をうまく言葉に現せなかったりする人に多いと言われます。
治療には単なるストレスの除去だけでなく、心理面の治療が必要ですので、通常は長い時間がかかります。治療が不完全ですと、初発症状が治っても、すぐに別の症状が現れるケースがありますので、しっかり治すことが大切です。
心身症に関係する疾患は多岐にわたり、循環器系では本態性高血圧(原因疾患の認められない高血圧)、呼吸器系では気管支喘息、消化器系では十二指腸潰瘍や慢性胃炎、皮膚科系ではアトピー性皮膚炎や円形脱毛症などが、それぞれ代表的です。
心身症の治療では、一般的な全身疾患とは異なり、心理的な要因が関与しているため、身体的な治療だけでなく、心と体の両面から治療を進める必要があります。
薬物療法、自律訓練法などで心の治療を行うとともに、併行して身体疾患に応じた治療が必要になります。